「おにぎらず」が「おにぎり」となるために



おにぎらずとは


「おにぎらず」をご存知でしょうか。

昨年末から話題になっているので知らない方は少ないと思いますが、念のために説明しておくと「握らないおにぎり」のことです。

のりとご飯で具材を包む工程はおにぎりと変わらないが、握らないから「おにぎらず」


では、握らないでどのようにしておにぎりを作るのかと言うと、海苔の上にご飯と具材を載せた後に海苔の四隅を折ってご飯を包むだけなのです。

大判ののりにご飯をしき、具材を乗せ、さらにご飯とともにのりの四隅を折りたたみ包んでいく。


この「おにぎらず」は握らなくてもよいという簡易さと、これまでのおにぎりの常識を覆した手法で注目されています。

ネットでの反響


どれくらい反響があるのか、ネットで確認してみましょう。
Googleトレンドでは以下の通り、はっきりと傾向が現れています。




図中のEは毎日新聞が、Cは読売新聞が、BとAは朝日新聞が取り上げた時期で、大手新聞社が記事にしたということでも、注目の高さが分かることでしょう。

今度はTwitterでのつぶやかれ具合を確認してみます。




グラフ横軸の対象期間を長くできないので、長い期間のトレンドを追うことはできませんが、多くつぶやかれていることは分かってもらえると思います。

クッキングパパにレシピ


このように「おにぎらず」は最近になって注目されているわけですが、実は1991年に刊行された「クッキングパパ」22巻の213話でレシピが載せられており、20年以上も前から知られていたことになりますが、これまでブームにはなりませんでした。

「おにぎらず」の名前が初めて登場したのは、漫画週刊誌「モーニング」(講談社)で長期連載されている人気漫画「クッキングパパ」だ。作中では、仕事も家事も完璧にこなす主人公・荒岩一味(あらいわ・かずみ)が、小学生の長男のために作った時短弁当として平成3年発売の単行本第22巻(第213話)にレシピが掲載された。


握らないおにぎり


しかし実は、クッキングパパよりもさらに以前から、「おにぎらず」=「握らないおにぎり」は日本全国に普及しており、多くの人においしく食べられていました。

それは何か分かでしょうか。

答えはコンビニエンスストアのおにぎりです。

「コンビニのおにぎり」は工場で押し型を使って三角形に成形しているので「握らないおにぎり」=「おにぎらず」となります。セブンイレブンは1号店となる豊洲店が1974年にオープンし、おにぎりが発売されたのが1980年なので、実に30年以上も前からじわじわと「おにぎらず」が浸透していったということになるのです。

今流行している「おにぎらず」とは作り方も見た目も違いますが、「コンビニおにぎり」も「握らないおにぎり」であることは確かではないでしょうか。

しかし私は、そもそも「おにぎらず」=「握らないおにぎり」を「おにぎり」と関連付けることに引っ掛かりを感じています。

おにぎりとは


おにぎりの本質は何かと考えると、「海苔で巻く」「具を入れる」といった食材の要件や、「手掴みで食べられる」「携行できる」といった機能の要件でもなく、やはり名前の由来からしても「米を握る」という行為が重要となるのではないでしょうか。そして握る形状はオーソドックスな三角形から球形や俵型になると考えています。

そういった意味では、「コンビニおにぎり」は押し型を使っているものの三角形になっているのでまだ「おにぎり」であると認識できますが、「おにぎらず」は成形されていない上に形状も薄べったいので「おにぎり」と認識するのは違和感があるのです。「おにぎらず」は「おにぎり」と関連付けずに「ライスサンドウィッチ」とでも称した方がしっくりときます。

日本最古となるおにぎりの化石が発見されたことに関連して6月18日が「おにぎりの日」に制定され、阪神淡路大震災からお米の大切さを見直す運動が発起して1月17日が「おむすびの日」に制定されていますが、「おにぎらず」もこの<おにぎり>や<おむすび>と同様に日本の文化に深く溶け込み、日本人の精神的支柱となった時になって初めて、海外でも「ONIGIRI」と呼ばれることがある日本人のソウルフード「おにぎり」のひとつとして認めても遅くないのではと思っています。

元記事

レストラン図鑑に元記事が掲載されています。